「七夕祭り」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　たとえば
　　　　　　　　　　　　　　　　　　一日足りとも君のこと
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忘れたことがないなんて
　　　　　　　　　　　　　　　　　　それは　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　嘘

　　　　　　　　　　　　　　　　　　記憶は
　　　　　　　　　　　　　　　　　　静かに遠ざかる
　　　　　　　　　　　　　　　　　　腕は消えた
　　　　　　　　　　　　　　　　　　唇も

　　　　　　　　　　　　　　　　　　肌の匂いも思い出せない
　　　　　　　　　　　　　　　　　　やわらかなものも
　　　　　　　　　　　　　　　　　　秘めた眉も

　　　　　　　　　　　　　　　　　　なんだか
　　　　　　　　　　　　　　　　　　とてもどうでもよくなってきて
　　　　　　　　　　　　　　　　　　きっとぽっかり胸にくぼみが
　　　　　　　　　　　　　　　　　　それさえ思い出せなくて

　　　　　　　　　　　　　　　　　　ただ空が
　　　　　　　　　　　　　　　　　　焼け付くような朱色を雲に
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ばらまき始めてしまう頃

　　　　　　　　　　　　　　　　　　僕はふと
　　　　　　　　　　　　　　　　　　気が付いてしまうのだ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　今この空を見てますか？
　　　　　　　　　　　　　　　　　　そんなふうに問いかける人が

　　　　　　　　　　　　　　　　　　今の僕にはないということ

06/30/2001